負ける喧嘩はするな!仕事、営業で交渉に勝つ秘訣はこれだけ!
猫が喧嘩をする際、睨み合いの中で勝てないと見るや、すんなり諦めて降参することも多い。サラリーマンの世界の喧嘩は「交渉事」であり、日々社内外での交渉の連続である。どうしたら交渉事に勝てるのか?猫型サラリーマンの交渉術をまとめてみました。
猫は負ける喧嘩はしない!
猫は基本的には平和主義である。
しかしなわばりによそ者が侵入した際などは喧嘩となるケースもある。
まず睨み合いが始まる。
ゆっくり時間をかけながら近づき、脅しをかけながらまた睨み合うのだ。
毛を逆立て尻尾を膨らませ、フゥゥゥ~とかフカーッとか唸って攻撃するぞ!と威嚇するのである。
完全にヤル気満々でイケイケのように見えるのだが、ここで睨み合いに負けると意外とあっさり引き下がったりすることも多い。
これはもう勝ち目がないと見るや、お腹を出して寝転がり降参のポーズを取るのである。
勿論自分のなわばりに入って来た実力拮抗した猫と激しい戦いとなることもあるが、それとて止めを刺すようなけんかに発展することはまずない。
相手が負けを認めれば即座に手出しを止め、致命傷を負わせるようなことはしないのだ。
それが猫の世界のけんかのルールであり、平和を保つ知恵なのである。
猫型サラリーマンも勿論平和主義である。
無益なけんかには手を染めない。
しかしサラリーマンの世界では勝たねばならない「交渉」という戦い=喧嘩があるのだ。
やっぱり交渉事には勝たねばならぬ!
サラリーマンを長くやっているとピンチとなることも多い。
そしてそのピンチをいかに切り抜けられるかがかなり重要と言えるのではないかと思う。
切り抜ければ評価アップにもつながるからだ。
一人で解決することが難しい案件も多い。
特に上司や同僚、また他のセクションの人の力を借りなければ解決しない案件も山ほどあるのだ。
利害がぶつかったり他の人に譲歩してもらわなければならない時、いかに上手く交渉するかが自分の力量であるとも言える。
私は交渉事にはかなり強い方だった。
若い頃から少なくとも普通の人よりもかなり勝率は高かったのである。
それは先輩に「負ける喧嘩はするな」と繰り返し教わって来たことが大きかったのだと思う。
先輩から教わった「負ける喧嘩はするな」!
この先輩Yさんは正に天才的であり、後に伝説の営業マンとまで言われた逸材であった。
私の40年のサラリーマン生活の中で、後にも先にもこんな人はいなかった。
どう考えても絶対無理だと思われる社内外の協議案件を、いとも簡単に纏め上げて来るのである。
しかしYさんにも当然どうにもならない案件もある。
その場合は早々に諦めてしまい全く交渉しないのである。
Yさん曰く「負ける喧嘩をするな、というのは喧嘩を一切するな、ということではない。喧嘩する時は必ず勝てということ。最初から負けると分かっている時は即座に諦めろ」。
サラリーマンの喧嘩=交渉は、始まる前にほとんど勝敗は決している!
つまり、勝つ為に事前に徹底的に考え、調べ、ストーリーやロジックを組立てることが大切であり、喧嘩=交渉を始める前にほとんど勝敗は決している、ということなのであった。
筋道をしっかり作れない案件まで、無理矢理に力で相手をねじ伏せようとしても、自らの評判を落とすだけで得るものは何もないということなのだ。
交渉の前に、どのように交渉すれば勝てるのかをまず徹底的に考え、もう絶対どうにもならない案件はあっさり諦めるのが正解、ということなのだ。
「勝てる背景を作れ」、「難しい案件程相手に近づけ」とも教えられた。
私が負け試合に勝利したエピソードはこれです!
営業課長時代に、本社にSさんという難攻不落と言われる課長がいた。
真面目一徹の人であり、理屈っぽく、全く融通が利かないの人だった。
どうしてもこの人の決裁を取らなくてはならないややこしい案件が発生した。
当時の私の上司も「Sさんじゃ無理かな」と半ば諦めていた。
困り果てた私はYさんに相談した。
すると「あー、それは家を褒めるしかないな」と言うのである。
家を褒める?!一体何ですか?と訊いたら、どうもSさんは最近家を買ったらしいので、その家を褒めまくり、教えを乞う感じでまずは親しくなるのが早道、ということであった。
当時ちょうど私も家の購入を考えていた時期ではあったので、本社にSさんを訪ね本命の案件には一切触れず家の購入のノウハウなどの話を振ってみたところ、今まで見せたことのないような柔和な表情で丁寧にいろいろ教えていただいた。
その結果、数日後二人で飲みに行くことになり更に家の話で盛り上がりめっちゃ親しくなることに成功したのである。
その一週間後くらいに懸案の案件はすんなりと決済が得られた。
上司をのけぞってビックリ仰天し、お前一体どんな手口を使ったのか、と詰め寄られたが、まさか家を褒めて、と言えるはずもなく黙っていた。
将を射んと欲すればまず馬を射よ!
正に「将を射んと欲すればまず馬を射よ」なのである。
大上段から大刀を振り降ろすような戦いは確率も低いし、やり過ぎれば場合によっては遺恨も残るのだ。
それよりも相手が「何とか助けてやろう」と思える背景を作ることを優先すべき、ということを私はこの件で学んだ。
勿論背景を作ってもダメな時はダメだが、それでもただ闇雲にぶつかるよりも100倍賢いのである。
見舞いの鬼N君の超絶エピソード!
課長時代の部下だった「見舞いの鬼」と言われたN君も、背景を作る派であった。
得意技はともかく「お見舞い」一本槍。
誰かが入院したと聞けば即座にお見舞いを持参するのであった。
彼曰く、本人より家族の見舞いが大事で、家族の見舞いをすれば家庭内の本人の株が上がるので効果倍増とのことであった。
ともかくN君は常にとことん病人を探しているような営業スタイルだった。
そんなに病人がいるわけない、と普通は思うのだが、大小取り混ぜれば結構いるものなのだ。
ある時「攻略中のお客様の部長が入院した」という話をN君が聞きつけ、満面の笑みで私の所に報告に来た。
「いやー、課長、遂にチャンスが来ました。〇〇社のE部長がお茶の水の病院に今日から入院したらしいです。すぐ行きましょう!」
N君の勢いに押され、お見舞いを購入しすぐさま二人で病院に向かった。
ロビーに着いて受付で病室を確認しようとしたら何と病院着のE部長が歩いているではないか。
すぐさま呼び止め、「E部長、大丈夫ですか!」と言ったらキョトンとして、「どうしたの?今日人間ドックなんだけど」と言ったのである。
に、人間ドックぅだとぉ~?!
後ろに控えるN君をギリリと睨みつけ、それでも固辞するE部長にお見舞いを無理矢理押し付けて逃げるように帰って来た。
帰路でN君をこっぴどく叱りつけたのは言うまでもない。
ところが、である。
驚いたことに何と一週間後に商談は成立したのだった。
まとめ:勝つ為には事前の準備と、相手がOKする背景を作ること!
(ほーらね)と顔に書いてある感じで、得意満面の笑みを湛え喜び勇んで報告するN君に、私は「そうか・・・ご苦労さん」と言うしかなかった
見舞いの効果が絶大なのは確かに分かったが、幾らなんでも人間ドックのお見舞いを正当化することは立場上出来なかったのである。
しかし結局これも、相手がOKせざるを得ない背景を作った実に有効な手法であったのだ。
真っすぐわーわー叫んで斬りかかるのは、サラリーマンの戦いでは最も効率が悪い戦法である。
大事なのは事前の準備と勝てる背景作り。
ストーリーメイクが重要なのである。
そしてストーリーが全く成り立たない事案は、スパっと諦めるしかないのだ。
勝負は始まる前にどれだけ考え努力したかで決すると心得よ!
これぞ猫型サラリーマンの交渉術なのだ。